2009年12月16日水曜日

人間中心設計特論4

今回はビジョン提案型デザイン手法についてです。ここでは、トヨタUDプロジェクトでお世話になったトライポッド株式会社代表取締の中川さんが紹介されました。


カッコいいUD
僕がトヨタUDの時中川さんにしていただいた公演中に出てきたもので、身体障害者用の箸があります。この箸は、障害者も健常者と同じようにカッコいい箸が使いたいというユーザーの潜在的なニーズから生まれたもので、障害者も健常者もカッコいい、使ってみたいと思える箸です。また、かっこいいUDであることが功を奏して、現在、JAL国際線のファーストクラスにも使われています。どのようにこの箸が生まれたかというと、中川さんは身体障害者のための箸を作るためにインタビューとオブザベーションをつきっきりで行うことで、1、2回インタビューの表層的な調査で得られないユーザーの本質的なニーズを探るそうです。そうすることで、実は障害者は障害者用の箸やフォークはかっこわるい、人前で使いたくない、恥ずかしいと思っていることに気づいたのです。「UDは使いやすくてもかっこ良くないと駄目だ。」ちまたの確かにどれもださいです。使ってみたいとは思えません。もし、健常者もUDのものを使ってみたいと思えるようになればメンタル面での健常者と障害者の壁は消え去り、すばらしいUD社会の実現が可能になると思います。
前回と今回で「なるほど、そういう事だったのか」と納得できました。つまり、中川さんは、障害者を新しい製品を作る上でのユーザーのベンチマークとして位置づけていたのですね。これがリードユーザーというものです。

問題解決型とビジョン提案型アプローチ
デザインを作り上げていくアプローチの方法として2つのパターンが存在します。マトリクス法や、ユーザーが決められたタスクを完了するまでの操作や行動を時系列にを並べ、問題点を見つけ出す方法にタスク分析があり、これらは問題解決型と呼ばれます。
もう一方は、ビジョン提案型とよばれる、ユーザーにどうあって欲しい、こうなって欲しいとデザイナーの意思を表に提示する方法です。
どちらかというと、こっちはコンペティションなんかによくあるやり方ですね。
この双方の手法は、僕自身よく経験してきたことだとわかりました。自動車のデザインでよくあることからです。自動車のデザインは問題解決型で理詰めのデザインアプリーチも突き詰めればありだけど、見てて面白くないんですね・・自分はよくやりますけど。どうしても現実とリンクさせることもありその車の「世界観」が乏しくなる。自動車は理屈でない部分、情緒的な観点からアプローチも出来ないとならない。つまり問題解決とビジョン提案の両方が出来ないと良い自動車デザインは生まれないということになります。かの、ジウジアーロはこういっています。「僕は全て理論のデザインなんだ。」って言っちゃってるけど、理屈の部分をどう処理するか選択する能力が理屈でない部分なんだと感じます。

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